左手の基本知識と練習編
右手よりは自分で間違いや違和感に気づきやすく、独力でも修正しやすいです。
それでも残念ながら、ある程度の訓練からは逃げられないのですが、訓練を重ねることで演奏時に余裕を持てるようになってきます。
今回も基本知識と練習についてまとめていきます。
※よろしければ 左手の練習についての考察:速弾き編 も合わせて読んでみてください
左手の基本知識編
基本的なフォームの作り方
[前提]
ポジションごと、弦ごとに押さえやすいフォームは変わります。
また、手の大きさや指の長さによっても全く異なったフォームになります。
一つ一つの動作を余裕を持って処理するために、なるべく不要な動作は省きましょう。
※以下の1.〜4.をひっくるめて運指(フィンガリング)と呼びます。
- 1.何ポジションで弾くのかを決める
- 2.どの指で弦を押さえるのかを決める
- 3.弦を押さえる前に、弾こうとしている部分の全音・半音の形を前もって作っておく
- 4.押さえたままにする指を決める
- 5.押さえにくい指がある場合は、原因と対策を考える
- 例えば小指が伸び切って押さえにくい時は、手のひらが指板から離れすぎている事が多いです。
小指を伸ばすのではなく、人差し指を伸ばすイメージで
- 小指は短くて細い分、伸ばそうとすると十分に弦を押さえることができません。
- 人差し指は小指と比べると力が強いので、小指を押さえやすいところから人差し指を押さえに行くイメージです。
フォームづくりの初期段階では、基本的に人差し指を押さえた状態で形を作っていく
- 人差し指を使わないフレーズであっても、一緒に押さえておくと指の位置関係を理解するのに役立ちます。
- 本番では押さえない、というのは問題ありません。
- 実戦では他の指を軸にすることもあります。
小指は指だけで弦を押さえようとすると十分に押さえられない
- 指だけでなく、小指の付け根から手首の間あたりの筋肉も使うと、しっかり押さえることができます。
- 小指でヴィブラートをかける時は、薬指と小指を一緒に押さえるとかかりやすくなります。
薬指と小指は訓練しないと分離して動かせない
- 薬指と小指で、それぞれの指を隣の指の第一関節くらいの高さまで上げてトリルしてみるとよく分かると思います。
- 細かい音符をはっきりした発音かつ正確なリズムで演奏するには、訓練が必要です。
左手の練習について
1.フィンガリングを決める
誰かに決めてもらうのではなく、まず自分で考えることが大事です。
※もちろん、まず自分で考えた上で人に聞くのは大いに推奨します。
結果的に最適解でないことも沢山ありますが、フィンガリングを採用した理由を具体的に説明することができれば、自分でどんどん考えることができるようになっていくはずです。
2.弦の押さえ方・離し方を考える
例えば、小指を押さえる場合は小指の付け根から手首の間の筋肉、場合によっては手首から肘にかけての筋肉も補助として使います。
小指を押さえた状態で薬指だけを上げたい場合は、小指を押さえたまま手のひらを開くようなイメージで上げてみると上げやすくなります。
小指以外を離す→人差し指と薬指を離す→薬指だけ離す といった順番で練習してみると、感覚がつかみやすいかもしれません。
このように、左腕のいろいろな部位をいろいろな割合で組み合わせて使っています。どの程度の塩梅にするかを考えていくようにしましょう。
3.指を鍛える
力の加減としては、弦を押さえる(叩くといったほうがニュアンスが近いかもしれません)瞬間に弦が指板に触れる程度に力を入れて、あとは音が抜けない程度に押さえ続けることができていれば十分です。
薬指と小指については他の指よりも普段の生活で独立して動かす機会が少ないため、別個で取り上げて訓練します。
単純なのは、1分間薬指・小指でトリルを続けることです。
しっかり発音しようとすると最初は10秒でも結構きついと思うので、少しずつ時間を伸ばしていってみましょう。
4.ポジションの位置を覚える
第一ポジションから第五ポジションに跳躍するとき、第五ポジションで小指を押さえるとします。
その時に、人差し指で音を鳴らして正しい音程を取れていることを確認してから小指を押さえるように練習しておくと、目的のポジションへの移動距離や位置関係が把握できるようになります。音程を外した時はどうズレていたのかを考えて、原因に対して対策をした上で練習を重ねていきます。そのようにして、少しずつ命中率を上げていきましょう。