右手の練習についての考察:弓の持ち方編
弓を持つ時に理解しておくこと
バイオリンを習っている方は、一度は「もっと力抜いて!」「脱力が大事!」と言われたことがあると思います。
主にそのように言われる原因は、以下のようなものではないでしょうか。
- 弓を持つことに慣れておらず、必要以上に強く弓を掴んでしまう
- 小指に弓の重さが集中してしまい、突っ張る、または反ってしまう
- 震えたり軌道がずれたりしないよう、弓を力で掴もうとしてしまう
弓を持つ時に理解しておくべきことは、バイオリンの弓自体は重量60g程度しかないということです。
さらに、弦の上に弓を乗せているときは、弓の重量は楽器がある程度受け持ってくれます。
弓を弦の上に乗せる時と、乗せずに保持する時とでは、右手の指への負荷が違うということです。
ただし、端の方を持っているため、ある程度コツを掴まないと重く感じてしまいます。
指の使い方
てこの原理で説明すると、弓の毛と弦の接地面は作用点です。
右手のそれぞれの指について、てこの原理で言うとどの役割にあたるか説明してみます。
※弓を右手で保持する、という観点の話です。
- 親指:弓の重さを支える、てこで言うところの支点にあたります。
- 人差し指:圧力をコントロールする、作用点への重りにあたります。
- 中指:バランサーとして利用する、力点にあたります。支点(親指)に一番近い力点です。
- 薬指:中指と同じく、バランサーとして利用する力点に当たります。基本的に添えるだけです。
- 小指:支点から一番遠い力点です。弓先を上下に動かす時に一番大きく動かせます。
指で支えるべき弓の重さ
先程はそれぞれの指の役割について説明しました。
ところで、棒を持つ時、垂直に持てば軽く感じますし、水平に持てば重く感じますよね。
弓についても同じことが言えます。
弓を弦の上に乗せる前は、弓を水平寄りに向けることになるはずです。弓を実際の重量よりも重く感じるのはこのためです。
弓を弦の上に乗せていない場合、作用点にかかる重さは、支点(親指)から弓先までの弓の重量になります。
この弓の重量を、支点となる親指、力点となる中指・薬指・小指で支えてやる必要があります。
小指が突っ張ってしまう原因
小指が突っ張ったり反り返ってしまう原因は、弓の重量を支えるための力が小指に集中しているためです。
この場合、親指・中指・薬指へ力をバランスよく分散させてやることで、小指への負荷を下げることができます。